日本最大級の地鶏「天草大王」をご存知ですか?

自宅で茹で鶏を作った後日、その茹で汁で雑炊を作るのが楽しみなニュースカイ広報 村上です。

鶏って出汁が濃くて、美味しいんですよね~。

一般的な鶏肉ももちろん美味しいですが、さらに味が濃厚で風味のいい、日本最大級の地鶏が熊本にいること、皆さんご存知ですか?

日本最大級の地鶏、それが「天草大王」

と、いうわけで、熊本には日本最大級の「天草大王」という地鶏がいるわけですが…

その肉は通常の鶏よりも「もも」の割合が多く、赤身の美味しさ、弾力ある歯ごたえ、コクのある味わいが魅力的なのだそうですよ。

近年、少しずつではありますが流通量も増え、新たな熊本の名物となりつつあります。

そして、その「天草大王」をもっと普及させようと、熊本養鶏農業協同組合 が【天草大王ガイドブック】を作るということで、先日、ANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカイの上野総料理長を訪ねて関係者の皆さんが取材にお越しになりました。

インタビューを受ける上野総料理長

インタビューを受ける上野総料理長

インタビューの様子をお話しする前に、まずは「天草大王」の紹介から…

天草大王って、幻の地鶏!?

天草大王

天草大王(写真は熊本県ウェブサイトより)

「天草大王」とは、熊本を代表する地鶏の一種。

特に明治後期から大正時代にかけて生産が盛んで、天草各地で飼育されていたといわれているそうなのですが、景気の衰退とともに需要が減り、昭和初期には完全に姿を消してしまった“幻の地鶏”です。

そもそもは博多の水炊きにも用いられていたそうです。

当時の天草大王の羽色は、濃褐色に黒色が混じる濃猩々(のうしょうじょう)色で、体は極めて大きく雄の大きいものでは、体重6.4kg~6.8kg(文献の大型雄の体重は1貫800)に達したと記録されており、天草にいる大きな地鶏ということから「天草大王」と名づけられたものと考えられたようです。

平成の代となり、わずかに残っていた文献と、「天草大王」が描かれた1枚の油絵を元に、熊本県農業研究センターが平成4年に“幻の地鶏”を復活させようと取り組みを始めました。

現在の「天草大王」は、研究を重ねて半世紀ぶりに蘇らせたものになります。

※復元種を「原種 天草大王」、肉用鶏を「天草大王」と呼び区別しているそうです

とにかく大きい!

復元した天草大王の平均体重は、雄5.7kg 雌4.4kg。

地鶏の中では発育が良好な種だそうで、雄は飼育日数100日程度で平均体重約4kg、雌は130日程度で約3kgまで大きくなるそうですよー。

日本食鳥協会のウェブサイトを見ると、一般的な鶏は成鶏でも550日で2kgということなので、天草大王がどれだけ大きいのか、しかも短期間で大きくなるのかが、よくわかります!

天草大王ガイドブックの取材

で、話は戻って、【天草大王ガイドブック】のこと。

2017年4月中に発刊予定とうかがっていますが、こちらは「天草大王」の流通強化を目指したもので、生産者や流通・販売・飲食業に関わる人たち向けの専用パンフレットということで、一般には流布しないようです(ざんねん!)。

気になる中身は「生産者の声」、「流通者の声」、「販売者の声」、「料理人の声」という構成になるようです。

「料理人」の一人に上野総料理長

そして、この「料理人の声」枠で、上野総料理長に取材がありました。

7D2_0010ニュースカイでは現在、結婚披露宴時の西洋料理メニューの中で天草大王を使用しています。

そのメニューは「天草大王の蒸しスープ」。

これは「天草大王」をまるごと使って作る蒸しスープ。

「天草大王」を40分かけて蒸し上げる手間暇かけたお料理。

ももや胸の肉をミンチにし、生姜を利かせたつみれがスープの中に入っています。

“天草大王という食材、料理をする人にとっての美点は?”という質問に「出汁がたっぷりで、ブロイラーよりも味がしっかり出て、甘みがあり、コクがある。そして、しつこくないし臭みがないのがいいよねー」と答えていました。

「熊本は水が美味しいから、余計なことをせずシンプルに。シンプルな調理に耐えうる食材だと思います」

そんな上野総料理長が考える、天草大王を使ったメニューのおすすめは、「シンプルに焼くだけ。あるいは照り焼きなんかもいいですね。蒸し鶏もいいかな…ゴマだれで中華風とか。また出汁が使えるので鍋ものなんかにも使うといいですよね。手羽中なんかはおでんにすると美味しいですよ」とのこと。

現在の課題としては、部位ごとの販売があまりされていないこと(部位ごとに買おうとすると、価格が高くなる)。一般家庭に普及するにはそのあたりの解決が必要だと考えているそうです。

上野総料理長は、天草大王を飼育している現場にも足を運んだらしく、面白いエピソードも語ってくれました。

「天草大王は、雄が雌を守るんだよね。人間が近づこうとすると、間に入ってすごく睨みを利かせるんだよ。軍鶏(シャモ)の血が入ってるからね。雌を背にして、人間が動くとそれに合わせて動く。ものすごく、雌を守ろうとするんだ」

 

天草大王、カッコいい…!漢らしい…!
身を挺して雌を守ろうとするなんて…!

 

これには熊本県養鶏農協の方も「よくご存知ですね!」と驚いていらっしゃいました。

上野総料理長…総料理長だけあって、かなり勉強熱心で、また現場にもよく足を運んでいらっしゃるんだなあと、改めて尊敬の眼差しを送ってしまったのはここだけのヒミツです。

また上野総料理長は、豪華客船「飛鳥」でお料理を作るシェフから“ぜひ天草大王を使いたい!”との依頼を受け、手配したこともあるのだそうですよ。

天草大王にまつわる裏話

今回上野総料理長の取材に同席し、「天草大王」のことを調べるにあたりわかったことがあります。

ひな、めっちゃかわいい。

天草大王のひな

天草大王のひな(写真は熊本県ウェブサイトより)

見てくださいー!これー!

めっちゃくちゃかわいいですよねー!

これが…

天草大王

こうなるなんて…(ドキドキ)

いろんな魅力のある「天草大王」。

これからも目が離せませんね!